【最終節】(C3:夏川七七)
最終節。銀座「柳」にて、第7期前期C3リーグがとうとう終了を迎えた。
来期から昇級の人間、C2からC3へ降級の人間が発表され、7期前期が幕を閉じる――。
昇級するということはそう簡単に成し遂げられることではなく、苦境に立たされる者も多い。
それでも彼らは、麻雀をやめない。
彼らのめざす道は、平坦な道ではない。
どこまでいっても、きつい登り坂がつづくのだ。
力尽き、うしろへ転がり落ちたらどうなることか……。
それでも彼らは、麻雀をやめないのだ。
彼らの目は語る。
「雀士がめざそうとする道は しょせん坂道でしょう」。
彼らのうち、どれほどが、その坂をのぼりきることができるかは分からない。
けれど、確実に居るはずなのだ。
このはてしなく遠い坂、麻雀坂をのぼりきる者が……。
そして筆者、夏川七七。
私は今期、昇級が叶わなかった。
けれど、まだまだ諦めない。
早く来期のC3リーグが始まらないか、待ち遠しくてならない。
私がプロ雀士となって、丸1年が経った。
私はようやく、
のぼりはじめたばかりなのだ。
このはてしなく遠い
麻雀坂を……!
未完
【第5節】(C3:夏川七七)
第5節、場所は飯田橋東南荘。
最終節前節、7期前期C3リーグも大詰めである。
今日で次節の立ち位置が決定される以上、最終節より重要であると言っても過言ではないことは、
誰もが了解していることであろう。
この時点での私のポイントは、▲50程度。
まだまだ巻き返せる。
RRRRRYYYYYEEEEEEEEEE!
体内から運気を噴出させて!
その圧力抵抗で流れを変え!
昇級圏内に戻ってやるわ!
と意気込んでいたはずなのだが、感触はゼロ。
駄目だった。
凍るかと思うほど、寒い打牌を繰り返した。
内にみなぎるものが、何も、なかった。
そもそもこれまで「流れ」に頼ったことも、なかった。
結果、マイナスに次ぐ、マイナス。
―夏川は―
昇級圏内へは戻れなかった…。
上位と下位の中間の位置付けを取り
中途半端にC3リーグをさまようのだ。
そしてアガりたいと思ってもアガれないので
―そのうち夏川は 考えるのをやめた。
【第2節】(C3:夏川七七)
5月11日、第2節。場所は銀座の「柳」。
銀座といえば、(正確には東銀座だが)私の働いていた雀荘のあった地だ。
となれば、銀座は私のホームも同様。
リーグ戦で銀座に降りるのは初めてのことだが、地の利は我にあり!
……で、会場の場所が分からない。スイマセン、ここ何通りですか?
あ、昭和通りですか。よしよし、近付いてるぞ。
雀荘にこもりっぱなしだった上に、方向音痴の自分に銀座という街は御するに余りあった。
地の利などどこにも無いことを痛感しつつ、会場に到着。
今日も気合ブリバリ!と意気揚々と麻雀を打つが、全く手が入らない。
大抵他家から先制リーチが入ってしまうのである。
それらをかわして次局、配牌はまあまあ、よし行くぞう!と思っても、
次局も同じような展開になる。
私の番が、ない。
そうこうする間に、展開はどんどん悪くなっていく。
ドラが無い、リャンメン無い、
出来メンツは何者だ?
ペンチャンターツはあるけれど、
センチャン牌を引きやしない。
ツモ悪い、手代わりしない、
たまに張っても役が無い。
おらこんな麻雀いやだ、雀荘さ出るだ、と思わず現実逃避をしてしまいたくなる。
卓上は冬だった。
私にとって、圧倒的に冬だった。
春は、まだか。
寒風に吹き晒され、それでも耐え抜いた時、植物とは見事な色づきを見せるものである。
たとえば、青森のりんご。
あれは彼の地の厳しい寒さがあってこそ、真っ赤に美しく色づくのである。
次節は緑で一色になったりしないものか、などと夢見ながら、
今はポイント挽回の機会が早く来ることを待ちわびる日々である。
【第1節】 ( C3:夏川七七)
第7期前期C3リーグが、4月19日午前11時、飯田橋東南荘にて幕を開けた。
名札を付け、卓につき、シャンと背すじを伸ばす。
闘牌上等、気合はブリバリ。
あんまチョーシくれてっとひき肉にしちゃうヨォ?と、ギンギンに眼を光らせて賽を振る。
……というのは冗談で、実際は丁寧に挨拶とお辞儀をして対局開始。
プロ雀士たるもの、些細なことでアツクなってはなりません。
タイは曲がらないように、スカートのプリーツは乱さないように、エレガントに牌を操るのです。
けれど、この日はリーグ戦。牌をツモる手にいやが上にも熱がこもるというもの。
親番はわたし。配牌を取り終えて、チョン、チョン。さて、何を切ろうかしら。
そうね、これが要らなさそうだわ。ごきげんよう、一萬さん。
などとお上品な会話を牌と楽しんでいたら、対面の第一打が横を向いているではないか。
やべえ、お嬢様ごっこしてる場合じゃなかった。
チョーシくれてひき肉になるのは私の方だったわけか!
ワハハ、コイツは1本取られたワイ(笑)。なんて1ミリも笑えないことを考えている場合ではない。
ダブルリーチに振り込むのは事故のようなものだと思うが、不運(ハードラック)と踊(ダンス)るのはできれば御免こうむりたい。
とりあえず字牌でも切っておこう。しかしまいった。どうしたものか。
そうこうする間に、下家が放銃。裏は乗らずの8000点。
うわー高いな、と思って牌姿を見てみたら、なんと確定三色。つ、強すぎる!!
ダブルリーチが打てるかどうかは完璧に運だと思うが、それに放銃するか回避できるかもまた運であろう。
対面は幸運と踊った。
下家は不運と踊った。
私と上家はダブリーに踊らされた。
踊り、踊らされ、くるくると綾を描く卓上での戦い。
そこに生まれる、熱き血潮のぶつかり合い。これぞ、闘牌。
第2節では、私も蝶のように卓上の幸運と舞いたいと思った。
……もちろん、タイは曲がらないように。