【第8節】(C2:田籠謙介)

終盤に差し掛かった第8節、雀王決定戦進出者も気になるところだが、
降級争いも熾烈を極めていた。

現在の降級ボーダーである福井は、なんとしても今節で巻き返しを図りたいところ。

その希望通り、三回戦終了時点で1・2・2とまとめ、+99.4Pを叩いた。


そして迎えた4回戦のオーラス。

南4局1本場 ドラ六索

トップ目の阿賀と5200点差、2着目と1400点差の3着目

13巡目
福井(西家)六萬六萬八萬六筒八筒五索六索七索南南發發發

この牌姿に対面の赤坂より出た六萬を迷うこともなく仕掛ける。
ここで仕掛けると直撃条件は残るが、ほぼ2着確定の上がりとなる。

南は生牌、八索は場に1枚見えの状態であり、一手変わりを待つ手もある。
そういった思考の迷いから、発声が遅れてしまう打ち手も多いはず。

しかし、残留のためには、この巡目で仕掛けないことの方が命取りになるのではないか。
ならば、余計な事は考えない。

私は、先生に模範解答を教えられる生徒のように見入ってしまった。

そして次巡にあっさり七筒をツモリ、福井はこの日を+114.5で終えた。

自分の目標に合わせた即断力。そこに福井の麻雀の強さを感じた。

 

【第6・7節】(A:赤坂げんき)

第5節までの自分は原点を基準に±100ポイント付近をウロウロしている煮え切らない状況だった。

半分を消化した今期のAリーグは、いわゆる「バランス」の良いプレイヤーが上位を占めている感じがする。

第6節以降の自分は、上位陣の誰かと必ず当たる。
ポイント差を詰めるチャンスといえるが、決定戦に残るには一節たりともマイナスは叩けない。

第6・7節は連続開催となった。

第6節はトータル3位の木原と同卓。
展開の良さもあって、3半荘を112着とする。
しかし最終半荘は木原トップ・自分がラスという最悪の着順で、ポイント差を50縮めるにとどまった。

第7節は前節当たった木原に加え、第6節にトータル3位に浮上した鈴木とも同卓。

鈴木はタイトルを幾つも有するモンスター。

ここが勝負所だ。
何度も自分に言い聞かせながら一打一打丁寧に打つ。

一回戦のオーラス。
前局にダンラスだった鈴木が、メンホンチートイの倍満を仕上げてトップ目に浮上。
自分はトップまで1900点差の2着目、そして全員にトップの可能性がある。

まさにスピード勝負。

祈るように配牌を取るが、手にしたものを見て愕然とする。

三萬九萬六筒七筒九筒四索七索東南南北白發 ドラ三索

両面ターツが一つだけであとはバラバラ。
唯一の救いは、場風の南が二枚あるところか。 
重い。重すぎる・・・
最速の2000点は南ドラ1、もしくは南と何かの役牌だろう。

親のトップ目鈴木が、第一打に南を切る。
だが、意識的にポンの発声をしなかった。

鳴けば、手が進むことは間違いない。
しかし残る形が悪すぎるのと、点数が1000点にしかならないかもしれないのが嫌だった。
鳴くならドラを引いた後か、他の役牌を重ねた後だろう。

この後のツモは縦に寄り、9巡目にチートイの聴牌を果たす。

一萬六筒六筒九筒九筒一索一索四索四索南南白白 ドラ三索

点差的にここはリーチの一手。
場況も良く、二萬三萬が三枚ずつ切られていた。

→牌譜表示

一発で出和了り、トップを奪取。

これに勢いづいたか、この日は1221のオール連対。
3位まで約40ポイントの位置までたどりついた。

今後も決定戦へのタイトロープを渡るような、バランスを一瞬たりとも崩せない戦いが続きそうだ。

 

【第5節】(A:木原浩一)

第7期雀王戦Aリーグも今節で半分を消化する。
現在、私は+200オーバーの3位。あとひと押し――ポイントを叩く事ができたなら
今期の決定戦進出がかなり現実味を帯びてくる。

対戦相手は須田、福井、鍛冶田
300以上ポイント差が離れている3者が相手だが
残り対局数を考えると、3者ともまだまだ諦めてはいないだろう。

そういった選択が顕著に出た局。
オーラスを2着に2万点差以上つけて迎えた西家トップ目の須田。
東家の鍛冶田がダンラスなので、ほぼセフティーリードといったところ。

私は南家3着目の福井と超微差の2着目。
ドラ九筒
福井の仕掛けは、中をポンして打三萬七萬をチーして打六索

          ↓
北發七筒三萬三萬一萬六索

裏裏裏裏裏裏裏 チー七萬横五萬六萬 ポン中横中中

その後ツモ切りを続ける福井に対して、11巡目に須田は2シャンテンから四索を「フッ」と切る。

前々巡、私が八索を通している。同巡に福井は三索をツモ切り。

テンパイだとすれば四索の危険度は相当高い。
ドラが3枚見えているて自身の和了り可能性が少ないとあれば
局が長引くのは歓迎しないトップ目の須田にとって、「当ってほしい」四索だったに違いない。
正直私は「やられた!」と思ったが、この時福井の手牌は開かれることはなかった。

対して私の仕掛けは五筒を先に切ってあるカン四筒を仕掛け
更にチー出しの打牌は、離れトイツ落しとなる六萬

   ↓         ↓
東一萬一索二索六萬七筒二萬

↓ ↓ ↓ ↓ ↓
八索八索南五筒八索六萬

裏裏裏裏裏裏裏 チー四筒横三筒五筒 ポン二筒二筒二筒横

この時の須田の手牌は

二萬二萬四萬五萬六萬七萬七萬八萬九萬一筒一筒南白 ツモ二索ドラ九筒

須田の目からは4枚目の六萬だ。役牌の可能性はすべて否定されている。
つまりタンヤオ確定となると、八萬四萬のバッタ待ち。という消去法による読みが成立する。

前にも言ったとおり、須田はできればこの局終わっておきたい。
私に対して当り牌を抜くという選択もあっただろう。

しかし、須田が次巡抜いた牌は、初牌の一筒だった。
なるほど。これなら福井にはシャンポンで当る可能性はあっても、私には当たりようがない。
これは少しでも私とのポイント差を詰めておきたいとする、須田の一打である。

→牌譜表示

同様に、最終局となった4本場でも
オタ風からダブルバックで仕掛けた私に対し、須田はキッチリ役牌を絞っている。

結局、私は今節現状維持に終わった。
「決定戦への道、まだまだ険し」といったところでしょうか。

 

【第4節】(C1:大浜岳)

迎えた第4節、注目はA卓であろう。

前雀王の須田良規、
現女流雀王崎見百合、
数々のタイトルを手中に収めてきた鈴木たろう、
そして、若手最強の呼び声高い、小倉孝。

強豪相まみえたA卓で、小倉の『ドラゴンラッシュ』が炸裂し続けた。

→牌譜表示

小倉(西家)二索三索四索六索 ポン南横南南 チー三索横一索二索 チー七索横八索九索 ツモ六索 ドラ六索

この強引なドラ単騎混一を含め、小倉はひたすらアガり続ける。

さらに小倉の強さは攻めだけではない。
小倉=愚形リーチのイメージが強いせいか、小倉は攻撃型プレイヤーと思われやすい。
しかし小倉は放銃率も低く、この日の放銃も実にたった2回であった。

小倉を目標とする若手たちは、小倉の麻雀を様々な視点から見るべきだろう。

この日3勝を挙げ、Aリーグ首位の阿賀までわずか2ポイント差まで肉薄した小倉。
このまま一気に阿賀をも捲くり、雀王の座まで駆け上がることができるか?

 

【第3節】(C1:大窪貴大)

長いと言えば長く、短いと言えば短い。全10節40半荘の戦いは、第3節を迎える。
第2節を終え、首位の阿賀が頭一つ抜け出してはいるが、選手達はそれ程、現在の着順を意識していないのではないだろうか。

今期の雀王戦Aリーグ、私は、第1節より小倉孝の後ろで、採譜をさせてもらっている。
第3期・第4期 雀竜位。 第6期 新人王。
もはや、協会を代表する20代若手No1雀士と言っても過言ではないだろう。

彼の麻雀の強さは、ここ一番の勝負勘、絶妙な押し引きにあると私は考えている。
それを如実に表していると思われるのが、以下の牌姿。

東1局0本場 ドラ七筒 4巡目

南家 小倉
二萬三萬四萬五筒七筒一索二索二索三索四索六索白白 ツモ六筒

この局面、躊躇無く六索を切って、リーチと打って出た。
愚形中の愚形、ペンカン三索待ち。
まだゲームが始まって数分しか経ってない各家が、これからゲームをどうやって仕上げていこうかと、考える間を全く与えない、この先制攻撃。
これが、小倉孝の駆け引きの真骨頂と私は思う。
そして3人に重い足枷をつけたまま、悠々一人旅の15巡目。

二萬三萬四萬五筒六筒七筒一索二索二索三索四索白白 ツモ三索 ドラ七筒 裏七索

→牌譜表示

裏ドラは乗らず、1000・2000の和了。
しかし、この和了形を他の3人は、どんな思いで見ていたのだろうか。

この後も何度もリーチを成就させた小倉は、1213という成績でプラス100.4P。
トータル191.1Pの3位という好位置をキープして、第3節を終えた。

残り7節、これからもどんなゲームを演出してくれるか、私は採譜者として、この若き戦士の戦いを最後までしっかり追いかけてみたいと思う。

 

【第2節】(A:須田良規)

 第1節目を終え、4位まで順に木原・阿賀・須田・赤坂と並んだ。
これは全員、協会発足時の第1期プロテストを合格した同期の面々である。
それぞれ6年の研鑽を経て、ついに私たちはAリーグのこの地位に名を馳せることができた。
僭越ではあるが、たゆまぬ精進が確かに実を結ぶこと、それを2期以降の後輩たちに示せただけでも、私たちの存在意義はあったかもしれない。

第2節、奇しくも私は、同期の阿賀・赤坂と同卓である。迎え撃つはAリーグ紅一点のベテラン崎見。
下克上の始まりだ――。今日は成り上がり者たちの競演を、崎見が大人しく傍観するだけの舞台となるだろう。

ところが、である。
開局一番の阿賀の親リーチに果敢に追っかけた崎見。
そのシャンポンリーチのツモ和了りを皮切りに独壇場を展開する。
私と赤坂は終始後手に回り、阿賀が漢の踏み込みでやっと喰らいつくばかり。

崎見
四萬七筒八筒九筒一索一索一索四索 ポン發發發 ポン北北北 ドラ一索

私の親リーチを受けながらも、ここから危険な暗刻筋の四索を押し、
場に安い萬子の単騎で私から満貫を討ち取る。

→牌譜表示

――大人しいなんて、とんでもない。
崎見はこの日縦横無尽に舞い、1期生を翻弄し続けた。
崎見はまだまだ、私たちの後塵を拝するつもりはないようだ。

結局第2節、1期生でポイントをプラスしたのは阿賀のみ。

後輩たちよ。私たちの飽くなき挑戦は続いていく。

 

【第1節】(B2:福田聡)

他リーグにさきがけ、Aリーグがいよいよ開幕した。
第一節の今回、ピックアップしたのは阿賀の牌譜である。

東三局 22000点持ち 配牌 

阿賀(北家)五萬五萬六筒六筒七筒八筒八筒東東北北發發 ツモ九筒 ドラ一索

チートイダブリーの手である。

七筒 を切って九筒単騎のダブリーをかけてしまう打ち手が多いのではないだろうか?
ちなみに筆者もそうしてしまいそうである。
だが阿賀の選択は打五萬のシャンテン戻し。
打たれてみれば、なるほど阿賀らしい破壊力抜群の好手と思う。
8巡目に鍛冶田から先制リーチが入るも、次巡六筒を刻子にして追い掛けリーチ。

阿賀(北家)六筒六筒六筒七筒八筒九筒東東北北發發發 ロン東 ドラ一索 裏二筒

イーシャンテンの斎藤がツモ切った東 をとらえて12000に仕上げた。

→牌譜表示

この後も阿賀は積極的な打ち回しで、トータル100Pオーバーのプラスを叩きだした。
頂きを目指す戦いはまだまだ始まったばかり。
さて今期雀王鈴木達也に挑むことにができる三名は誰になるのであろうか?